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--年--月--日 (--) | 編集 |
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2016年11月11日 (金) | 編集 |
一部の人が待っていた?アノ男が登場です。
 
 




また雨か……
これで三日連続の雨だな。

十月終わりのNYに今日も冷たい雨が降る。
朝より激しくなった雨がガラスを叩いて筋となって流れ落ちていく。


俺がこのNYに来てあと数カ月で四年。
英徳の高等部を卒業する直前にNYで道明寺を率いていた親父が倒れた。
その時の俺は十八になったばかりの若造で、今思えば根拠の無い自信を精一杯膨らませた馬鹿なガキだったと思う。

見た目だけはいい中身のない張りぼて。

道明寺財閥の息子として産まれ人に傅かれるのが当たり前な、道明寺の金と道明寺の権力を笠に着た生活。
俺自身は何も持っていないのにそれに気付かず生きていた。

なのになぜか親父が倒れたと聞いた時に“NYへ行かなくてはいけない”と思った。
“どうでもいい”と思っていた“道明寺を潰す訳にはいかない”と思った。

全てを棄てて日本を飛び出した。
日本での生活に未練はなかった。

なぜなんだろう?
幼い時から家族よりも一緒の時間を過ごした仲間から逃げるようにNYにやって来たのは。

なぜなんだろう?
雨を感じると厭世的な気分になるのは。


なぜなんだろう?
そんな気分が年々酷くなっていくのは……


自分の中に渦巻く【なぜ】に向き合う事がないままここまで来た。


「……くっ」


───何かが違う。何かが足りない。

不意に湧き上がる衝動。

───どこかへ行かなくてはならない。

このNYは確かに俺の場所なのに……
俺の中にある何かが何かを求めて迫り上がってくる。


───俺は何を求めているんだ?

ガラスに映る自分に向かって問いかけるも答えが返ってくることは無かった。



コンコンコン
ノックの音で我に返る。
いったい何分間ぼんやりと外を見ていたのだろう。

俺の時間は一分でも無駄にする訳にはいかないのに。


「(入れ)」


扉に背を向けたまま入室を許可する。
こんな雨の日はいったん剥がれてしまった道明寺ホールディングスの道明寺司の仮面を咄嗟に被るのが難しい。


「失礼します」


聞こえてきたのは日本語、西田だ。

助かった。
西田は雨の日の俺の変調を熟知しているから仮面を被らなくてもいい。
それにいくら英語で喋るのが苦にならないとはいえ、やはり日本語で話すと落ち着く。特に雨の日は。


「司様、来月シンガポールでの都市型交通計画案のプレゼンの後に行われるレセプションですがパートナーはいかがいたしますか?」


ただでさも気分の悪い雨の日に更に気が滅入る事を西田は訊ねてくる。

パートナーか……
毎回の事ながら頭が痛くなる話だな。

いつもの様に姉ぇちゃんに頼もうにも既に予定があるとかで断られているし、下手な奴に頼むと後が面倒だ。
女をエスコートするだけでマスコミが【恋人発覚!】だの【婚約間近!?】だの勝手な事を報道されて、そんなデマに煩わされるのはもうこりごりだ。


「一人じゃ駄目なのか?」

「司様は噂をご存じなのでしょうか?」


噂?
知っているさ。NYの社交界にまことしやかに囁かれている噂だろ?


「俺がゲイってやつだろ?」

「ご存知でしたらなぜ?」

「言いたい奴には言わせておけばいい」


そう言い捨てた俺のセリフに、珍しく西田が苦虫を噛み潰した様な表情を見せる。
鉄仮面を体現化している。とまで言われている男が感情を面に出すのは本当に珍しい。


「司様が良くても私が構います。その相手は私だと言うのが最近噂に付け加えられております」


げっ、それはさすがに俺も嫌だ。

僅かに顰められた俺の顔を見た西田が一枚の書類を出す。


「これは?」

「日本でレンタルパートナーを派遣している会社です。ここに依頼をするというのはいかがでしょうか?」

「大丈夫なのか?」

「はい、この会社は表立ってはレンタルパートナーの営業しておりませんが、私が調べましたところ主にセレブに利用されている信用のおける会社のようで世界中に派遣可能です。当然ながら秘密は厳守されます」


西田がここまで言い切るという事は相当信頼性が高いという事だ。
顧客にセレブが多いという事はパーティー慣れしていて、マナーに関して心配する事はない。


「とりあえず一度だけ試してやる」

「どのような条件で選ばれますか?」

「……まずは日本人で英語が喋れる事は必須だ。場所がシンガポールだから出来たら中国語も喋れるといいがそこまでは期待しない。俺と並んでも見劣りしない、だが決して前に出しゃばらない。俺のパートナーという事はかなり注目されるだろうから、何を言われても笑顔で返せる女がいい。泣く女は言語道断だ」

「以上でよろしいでしょうか?」

「最後に一番重要なのは、絶対に俺に惚れない女だ。これは譲れない」

「かしこまりました。そのように依頼します」


俺の付き付けた条件はかなり厳しい。
この条件に合う女がいたらこの先のパートナー探しに苦労はしないはずだ、だから最初から厳しい条件を付けた。

西田が出て行くのを待たずに俺はまた顔の外に目を向けた。
さっきと変わらず降り続く雨。



───今日も雨のNYに俺はいる。






またもや大風邪をひきこんだ私にはシリアス司は疲れました。


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コメント
この記事へのコメント
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2016/11/12(Sat) 17:31 |   |  #[ 編集]
さとぴょん様
♪ウイルスウイルス、さとぴょん様のとこへ飛んでゆけーーーーっ♡

引き受けて下さると回復も早くなるかもしれません。
どうぞ、お受け取り下さいませ <(_ _)>



『…その相手は私だと言うのが最近噂に付け加えられております』

「本当の事だがな」

ニヤリ



と書きたい誘惑に打ち勝ちましたよっ!
2016/11/13(Sun) 09:40 | URL  |  aoi #2wx3c3Xs[ 編集]
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2017/06/29(Thu) 16:42 |   |  #[ 編集]
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